肛門内科とは
肛門内科の対象疾患は主に痔、肛門周囲皮膚炎、肛門ポリープ、肛門痛、直腸脱などがあります。痔といってもいわゆるいぼ痔、切れ痔、穴痔などがあります。また多くは血便、下血といった症状がある方も少なくありません。下血、血便の場合は【痔の出血でしょ】と自己判断しないことが大切です。血便のなかには大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などが隠れていることもあり注意が必要です。
肛門の疾患
痔は主に肛門の血流が滞ることによって起こる痔核(いわゆるいぼ痔で肛門より内側に出来る内痔核、肛門の外に出る外痔核)、肛門が切れることによって痛みや出血が起こる裂肛(いわゆる切れ痔)、直腸から肛門に細菌感染し肛門周囲に細菌の巣が出来る肛門周囲膿瘍(いわゆる穴痔)、また肛門にカビなどが感染を起こすことによる肛門掻痒症(カンジダ肛周囲炎)、突発的に肛門に激痛が走る肛門痛などあります。肛門部のポリープ、また肛門に出来る肛門がんもあります。
痔核(いぼ痔)
痔核(いぼ痔)の症状としてよくあるのは出血、痛みです。症状が軽度の場合は軟膏や内服でまずは痔の腫れを押さえます。それでも出血、痛みが制御困難で生活に支障がある場合は外科的な治療が必要となります。
外科治療は痔核に注射して固めてしまう治療、単純に切除する方法があります。いずれにしろ肛門には神経、血流が豊富であり、処置には痛みや出血を伴うためお尻への麻酔や出血のコントロールが必要となります。
裂孔(切れ痔)
裂肛(切れ痔)もまずは軟膏の塗布、また便が固い人に多いため下剤など使用し便を柔らかくすることが必要となります。こちらはあまり放置して進行すると肛門の穴が狭くなり排便が困難になることがあります。そうなる前にまずは内科治療、それでも繰り返したり病状が進行する場合は外科的な治療が必要となります。
肛門周囲膿瘍(穴痔)
肛門周囲膿瘍(穴痔)は直腸からのばい菌感染により起こります。場合により切開排膿や病状によっては糸を通して治療などしていく場合があります。この場合もクローン病と呼ばれる小腸、大腸の炎症性疾患が隠れていることがあり注意が必要です。
カンジダ感染について
肛門へのカンジダ感染に関しては抗菌剤の塗布、肛門痛に関しては痛む時間や頻度で対応が変わります。
注意すべき肛門疾患
肛門疾患で注意したいのは痛みや出血を呈する場合大腸がん、出血性ポリープ、肛門がん、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、アメーバ腸炎)が隠れていることが時々あります。
なので自身で【痔だから大丈夫】と自己判断せず一度は医療機関を受診し相談することが大事となります。
肛門疾患の診察の流れ
まずは問診である程度疾患を絞り込んでいきます。肛門の症状といっても痛み、出血、しこりを触れる、何か出てくる、痒いなど様々です。診察では実際に肛門を観察し、視診、触診、そして肛門鏡(筒状の器具)を使用し診断していきます。場合により後日大腸内視鏡検査で検査する場合もあります。
実際の診察では患者さんのプライベートに配慮し女性患者さんには必ず女性スタッフが診察の補助に入ります。肛門、お尻とくと少し恥ずかしくて受診しづらいかと思いますが肛門は腸の先端についている大事な部分です。早めに受診し解決することが大事と考えます。
診断後は必要に応じて投薬(塗布薬、内服など)する場合やなかには切除や注射治療など外科的な治療が必要となることもあります。外科的処置が必要となった場合は適宜外科治療の可能な施設へ紹介させて頂いております。